これはタイトルの印象を裏切り、とても興味深かった。
経営学というタイトルだから、学問的に論じているのかと
思ったら、対談だ。本書は、数ヶ月前に出版されたもので、
過去のブログと対談の形式でまとめられており、最新の知見や
考えが、手に取るように読め、スピード感を感じる。
主張は興味深いものが多く、これからのインターネット、
ハード・ソフトウェアの10年を考えさせられる。
例えば、国策である地上波デジタルへの移行について
「光ファイバーがここまで普及した今、電波で送るのは離島などの僻地だけにしておき、人口密集地には光ファイバーで送るほうがはるかに経済的でサービスとしてもいいものが提供できることは明白である」(p.65)
次に、競争力の源泉としての日米の企業文化と教育環境だ。
「この時代にいちばん必要なのは「ビジネスのことがわかる技術者」であり、「ITのことがわかる経営者である。これから何が必要とされて、次に何をしなければならないかをしっかりと「時代の流れ」をとらえて読む力が、この業界で生き抜くために不可欠なのだ。」(p.76)「特に、IT業界で身を立てようという学生の中には、コンピュータ・サイエンスの学位に加えて、同時にビジネスの学位を取得してしまう強者もいる。」(p.78)「米国のマイクロソフトで働くようになって最も強く感じたのは、日本にはごく少数しかいない「ビジネスのことがわかる技術者」「ITのことがわかる経営者」がたくさんいることだ。」(p.77)「「僕はエンジニアだからマーケティングは分からない」「私は商学部だからITのことはエンジニアに任せる」などと甘いことを言っていては「技術とビジネスの両刀使い」がたくさんいる米国の企業と同じ土壌で戦うことはできない。」(p.79)
考えるべきは、
所与の組織や、個人の保身のための集合体として
日本社会が存在価値を見出しているのではないか。
次に、そのような社会が、国際競争力を高めるために本来使うべき
資源を≪無駄≫に使っているのではないか。
先日の情熱大陸に勝間氏が出ていたが、氏が日本社会の
≪効率化≫に必要性を説いていたが、我々が米国から学ぶべきことは
まだまだあるはずだ。
中島 聡『おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由』(アスキー, 2008)
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